「何が間違った考えなのだろう?」
23歳の女性が、今年6月の追突事故で整形外科に受診している。
鎮痛剤を処方されたが、胃の具合が悪くなりやめた。
それで低周波治療と湿布を行ってきたようだ。
もう3ヶ月になろうとしているが、結果ははかばかしくない。
頚背部の痛みがとれず、時に後頭部痛でデスクワークの仕事も辛くなることがある。

2週間前に、何とかならないものかと来院した。
みると、僧帽筋が左右で緊張度が違っている。右の僧帽筋は全体的に緊張感がない。
頚部には圧痛点がいくつもある。左の腸腰筋や腹筋群も緊張度がない。
だから身体前面の筋群と背面の筋群は対角で緊張度もなく、MMTも弱い。
相対的に観れば、身体の捻じれ現象がみられる。

3回ほど、筋・筋膜の機能系を治療したら随分と変化した。仕事中もあまり気にならなくなったようだ。
今日4回目の治療にみえた。ところが、随分と落ち込んだ風である。
母親が付き添ってみえた。
「どうしたの?」と聞くと、「この間、また追突されました。折角よくなって来たのに...」。
「えっ!」である。

何でも、横から飛び出してきた車に側面から追突されて、彼女の車は1回転したのだそうだ。
職場からの帰宅途中での事故で、救急病院の診察を受けた。
X-Rayで問題はない。が、当番医が整形外科医でないため、明日は専門医に診てもらうように指示される。

指示通りに公立病院の整形外科に受診する。
診断は、お決まりの「頚椎捻挫」である。何の治療もない。
「鎮痛剤はいる?」と聞かれただけで、今度は整形外科の開業医に紹介状を書くという話になったらしい。
ところが彼女は「いいです。整骨院に行きますから」、と応えたそうだ。
すると、病院の整形外科医から叱責された。

「それはダメだ。それは間違った考えだ。そういう考えは改めた方がいい!」。
「だって、整形に通っても治らないじゃないですか...」、と彼女は応じたと言う。
ところが、この医師の決めゼリフがすごい。
「あなたはもっとオトナになるべきだ!」。

「何が間違った考えなのだろう? 私はどんな考えを改めなければならないのだろう? なるべきオトナってどんなオトナなのだろう? 私は早く治りたいだけなのに...」
この彼女は、さっぱり訳が分らなかった、と小首をかしげて語ってくれた。

二次情報なので確かなことは言えないが、徒手療法に頼ってはいけない、と言うことなのだろうか?
もしもそうだとすると、それは治療の領域の問題ではない。
筋骨格系の痛みをどう診るかの問題である。

それとも、医師の指示には子供みたいに逆らうな、と言うことなのだろうか?
患者の意思が一方的に無視される医療だとしたら、それも問題だろう。
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by m_chiro | 2009-09-02 00:24 | 痛み考 | Trackback | Comments(8)
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Commented by シャルル at 2009-09-02 06:26 x
整形外科医は、鍼とかマッサージに関して、整骨院に関して、カイロに関して、正しい知識を持ち合わせているとは言い難いでしょう。
整形には、徒手療法を受けて悪くなった方が、山のように押し寄せます。
整形で悪くなった方は、病状の問題。
徒手で悪くなった方は、治療の選択の問題と思っているようです。実際怪しげなところもありますし。
オトナっていう表現は、全くはまらないと思いますが。あ、整形で宣言する話ではないから。。。その当たりお付き合いかがコドモかな。
Commented by m_chiro at 2009-09-02 21:59 x
徒手療法に対する信頼の無さは、結局我々自身が蒔いた種でもあるのでしょう。
実際、業界に身を置いて、そう感じる部分も多々あります。

それにしても、お医者さんも超多忙すぎて患者さんとの会話もギクシャクしている部分も感じます。
ちょっとしたボタンの掛け違いで、大きな不満を作り出しかねません。
心して気をつけなければと思います。
でも、この患者さん事故の大きさのワリには酷いことにならなくて幸でした。
Commented by syaruruk at 2009-09-02 22:43
前回の事故の後を、治療しておいてよかったですね。具合が悪いときだったら、ひどくなったかも。
彼女には、運があるようです。先生を知っているというだけで、強運。
Commented by SUSUMU at 2009-09-03 00:42 x
はじめまして。SUSUMUです。
< 痛 み の 治 療 研 究 会 >から飛んできました。
うちの患者さんもそういうことを言われたらしいです。
困ったものですね。
なかなかおもしろい記事だったので僕のブログで書いてもいいですか?

施術の内容はあまり想像がつきませんでした。
もっと勉強します。
もしよかったら教えてくださいね。
お邪魔しました。
Commented by m_chiro at 2009-09-03 18:13 x
syarurukさん、彼女はすぐに職場に復帰しました。
先ずは、やれやれです。
大きな事故だったけど、大したことも無く本当に運が良かったと思います。
Commented by m_chiro at 2009-09-03 18:15 x
SUSUMU先生、はじめまして。
記事はお役に立ちそうでしたら、どうぞお使い下さい。

今後とも、よろしくお願いします。
Commented by SUSUMU at 2009-09-10 23:47 x
記事を少し引用させていただきました。
ありがとうございました。
Commented by m_chiro at 2009-09-11 17:23 x
SUSUMU先生、読ませていただきました。
同じような経験、結構あるものですね。
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