低気圧になると、なぜ痛みが出やすくなるのだろう?
ミネアポリス・痛み研究の先生の記事・「2009.06.19 頭の痛い話」に御自身の体験談が書かれていた。

さて話はかわって。現在、ミネアポリスは概ね低気圧の中。どうにも体調がすぐれない。気圧が下がると相対的に生体に加わる圧も低下する。となると例えば血管の緊張も低下する。血管の緊張が低下すれば、血管は拡張する。となると何が起こるのか?そう頭痛が発生するのである。
昨晩、その偏頭痛に襲われた。こうなるともう眠るしかない。そして今朝、何故か腰も痛い。基本的に私は関節、腰に痛みなどなかった。首も痛く湿布のお世話にならざるを得ない。近頃、そういう痛みをよく感じるようになった。しかも低気圧の接近に連動して。

確かに、気圧の変化が起こると、思い当たることもなく体調の悪さや痛みを訴える患者さんから突然の治療予約が入ることが多くなる。

自律神経と痛みは関連も深いようだ。気温が下がる、湿度が高い、気圧の変化など環境因子は人の病態に大きく影響することが分かっているようである。特に、交感神経と痛みの関連はよく指摘される。

自律神経はどのようにして気圧の変化を感知して反応するのだろう。
おそらくは内耳・前庭にある気圧を検出する受容器なのだろう。その情報が中枢に送られ自律神経が反応しているのだろうと思う。
気圧が下がると副交感神経が優位になる。そのときヒスタミンが増えるらしいから、血管を拡張させる。すると偏頭痛が起りやすい。

あるいは血管から周囲の組織に水分が滲み出す。むくみが起る。痛み感覚が更に交感神経を刺激して、末梢の筋肉や関節周辺では血管が収縮する。痛み物質が反応する。
プロスタグランジンE2は、平滑筋を収縮させる作用や末梢血管を拡張させる作用があるようだから、PGE2も関与しているのだろう。

脳では血流が増して頭痛となり、末梢では交感神経の作用で血行が悪くなって筋・関節周辺で痛みをつくる。異常な悪循環の構図ができあがって、自律神経も失調する。
そんなふうに単純に考えてみたのだが、どうなのだろう。

健康と天候の相関については、医科学の分野でも研究・調査の対象になってきたようだ。
2004年には、テルモ株式会社(本社:東京都渋谷区)が「健康と気候に関するアンケート」調査を行っている。立正大学、国土環境株式会社との共同調査で、全国に居住する40~60代の一般生活者及び慢性疾患患者の1168名を調査対象者としている。

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確かに環境因子は無視できないようだ。
Lancet誌は気候変動の健康影響に関する報告まとめ、温暖化などの気候変動が人の健康に及ぼす影響についての問題提起を行っている(同誌2009年5月16日号に掲載)。
今後、このような環境と健康に関する調査が多くなりそうである。
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by m_chiro | 2009-06-23 01:16 | 痛み考 | Trackback(1) | Comments(5)
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Tracked from 座敷わらしのひとりごと at 2009-06-24 01:20
タイトル : 昔受けた、SGB
守屋先生のブログに低気圧になると、なぜ痛みが出やすくなるのだろう?という記事があります。皆さん気になる、お天気と症状の変化ですよね。 30代のはじめに、頚部の交換神経節をカルボカインでブロックするという治療を30回1クールで、半年ぐらいかけて受けたことがああいます。 そのときのペインのDRの説明は、 『お天気や気圧の変化で痛みが出るのは、自律神経の異常興奮によるもの。交感神経をブロックすることで、全体的な自律神経の流れが、一旦止まったあと、復活するときに正常に戻る』というものでし...... more
Commented by 痛みのブログの人 at 2009-06-23 02:15 x
ミネソタに来て以来、頭痛を感じるようになりました。特に一日の気温差が一日20〜30度近いこともあり、マイナス25度から数時間でプラス5度まで上がると確実に頭痛が起こります。周辺のミネソタ出身以外の人々もそうらしいです。あと気圧ですね。とにかく低気圧の移動が早いので短時間で気圧が下がり急にもとに戻る、この場合、頭痛に加え腰も痛くなります。気候と痛みの関係は名古屋大学医学部の水村先生らのグループがやっているようです。教えて欲しいのですが、気圧が下がると副交感神経が有意になる、というのはどういう機序なのでしょか?内耳の神経の興奮が自律神経を興奮させるというのは定説なのでしょうか?確かに副交感神経有意になれば血管は拡張しますので偏頭痛などが引き起こされるのは理にかなっています。もし気圧がこの一連の現象のトリガーだとすれば、これは非常に重大かつ意義のある仮説になりうると思います。もしかするとLancetやNature級の仮説かも知れません。偏頭痛の基礎研究ではやはり何故,偏頭痛が起こるのか?という初期段階が不明のままですし。我々は光刺激が偏頭痛のトリガーと考え研究をやってます。また紹介したいと思います。
Commented by m_chiro at 2009-06-24 00:12 x
ミネソタの先生、低気圧による頭痛や体調不良の機序を考えると、私はボケた頭が一層混乱して訳が分らなくなってしまいます。低気圧による頭痛は副交感神経優位になり血管が拡張して頭痛が起る、とされているようですが、腰や末梢にみられる痛みはどうみても交感神経優位の病態のようです。どういう機序でこうしたことが起るのか、分らないでおりました。先生の記事を読んで、雑多な知識から推測を書けば、明らかなことと不明なこと、推論として無理があることなど、もしかしたら先生から御教示いただけるのではないかと思って記事にしてみました。コメント有難く読ませていただきました。
私の記事の内容はお恥ずかしい推測にすぎません。が、名古屋大学環境医学研究所の報告では、「内耳の前庭を薬物で破壊した神経痛モデルラットの痛み行動が低気圧時でも増強しない」こと、また、「前庭神経の細胞活動の記録では、一部の細胞が低気圧に対して反応性を示す」ことが明らかになった、というペイパーがあり、ラットでの気圧検出センサーは内耳に存在する、としていました。
Commented by m_chiro at 2009-06-24 00:14 x
ミネソタの先生へ(続きです)

となると、低気圧時にめまい感を訴える患者さんがよく見られるのもうなづけるような気がしました。それでも、私には低気圧でなぜ副交感神経が優位に作用するのかが疑問でした。推測したことは、交感神経優位であった状態が低気圧に変化したことで、内耳からの情報を受けて自律神経も一気に副交感神経優位にシフトするのではないかと推定しました。頭痛による痛み刺激により、今度は末梢の血管を収縮させる、あるいは平滑筋を収縮させることで、腰痛などの痛みが交感神経優位の痛み症状として作られるのではないだろうか、と推測した次第です。素人の戯言ですが、そうした患者さんを治療しながら、機序が分らないと気分も乗れない状況があって、素人は素人なりに推測してみるしかないわけです。
Commented by m_chiro at 2009-06-24 00:16 x
(再び、続きです。)

>低気圧の移動が早いので短時間で気圧が下がり急にもとに戻る

なるほど、そういう観点もあるわけですね。
私が住んでいるところは、冬場は2~3日も続く低気圧があったりします。また、ダシ風などで体調を悪くする方も結構います。痛みの環境因子も中々手ごわい素材だと思います。
いずれにしても、先生のような専門の研究者から直接お話をお伺えることは、私にとってとて望外の喜びです。
先生の光刺激からの研究も興味深く感じております。
よろしくご指導下さい。
Commented at 2009-06-24 14:57
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