「草取り症候群」雑感
Syarurukさんが「鍼治療8回目」で、草取りをした後のアチコチの痛みを「草取り症候群」と名づけていた。
なるほど言いえている。 東北も一気に春が来ると、みな浮かれ出したように庭いじりや家庭菜園をはじめる。 だから、この時期は腰痛の患者さんが特に多くなる。 特にご婦人方は、決まったように屈曲/伸展障害の腰痛である。 「何もしていない」と言うが、聞き取りをすると「草取り」に行き着く。 そんな患者さんたちは、やはり膝や肩の痛みも併発している。 「草取り腰痛」、「草取り症候群」、いただきです。 「むち打ち症」も「頚椎捻挫」だの「加速/減速障害」などと呼ばれるが、「むち打ち」と言うだけで分ってもらえる便利な呼び方である。 腰痛もアレコレ説明するより、「草取り腰痛」の方がピンと来るかもしれない。 膝や肩などの症状もあれば「草取り症候群」でいい。なまじ仰々しく「椎間板」だの「軟骨」だの「脊柱管」だのと診断されると、打ちひしがれるような感じがするのかもしれない。 やっと春が来て伸びだした草も、ようやく陽の目を見たと思ったら引き抜かれてお終いでは、気の毒でもある。 根こそぎやられた草の悼みを、始末した人が身体で請けたと思えば、アチコチの痛みも諦めがつくかもしれない。 ところで、植物には脳がない。つまり神経系がない。植物の情報系は遺伝子系が担当している。 なぜ脳がないかと言えば、行動する必要がないからだろう。 ところが動物には脳を欠かせない。捕食などのために行動しなければならないからだ。 人間が仕事を持つのも、ひとつには食うためである。 行動には、神経系という情報系が重要な役割をしている。 その情報系の入出力を取りまとめているのが脳である。 情報の入力は五感から入る。その入力された情報を処理して出力する。 でも出力系は一つである。筋肉以外にない。 ものを見る行為も、話をすることも、筋肉が始動してはじめて意味を持つ。 歩いていて水溜りを見つけたら回って通るのも、視覚情報を脳が処理し回避行動をとらせるからだ。 動きにも無意識的な部分があり、意識が介在する行動もある。 草が邪魔だ、という意識が介在するから「草取り」行動に精を出す。 だから身体と脳は切り離せない。脳は身体という末梢の情報に依存している。 身体性を抜きにして、脳はその役割を果たすことは出来ないのである。 筋肉が重要なのも自明の事である。 「草取り症候群」にうなづきながら、そんなことを考えた。
by m_chiro
| 2009-04-17 17:48
| 痛み考
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