我が愛しの犬たち② 再び、「バル(1989~2001)」のこと
ハスキー犬は、漫画「動物のお医者さん」で一躍人気犬種になったが、その人気もアッという間に下火になった。ほとんどの人が、「バカ犬」と言って蔑んだが、私は一緒に暮らすごとにとっても好きになった。
ほんとに愛すべき性格の犬だった。

いつもブログでお世話になっているsyarurukさんの妹さんが、犬の訓練士をしていたという。syarurukさんの愛犬「ホナ」ちゃんは、実は、その妹さんが育てた「わんちゃん」なのだそうだ。
ホナちゃんは、もう老犬だがとても可愛い表情やしぐさである。癒し系なのだ。
ホナちゃんが、syarurukさんとこのわんちゃんになったのには訳がある。
妹さんが、自分の闘病生活を優先せざるを得なくなったのだ。
最近、「ぐちゃ」さんという名で「ホナいこか」というブログを開設した。
その「ぐちゃさん」が、ハシキー犬が大好きだ、とsyarurukさんから聞いて、うれしくなった。
ぐちゃさんのところへコメントしたら、ぐちゃさんが訓練士時代に撮ったハスキー犬との写真をブログに載せてくれた。
それを見て、またうれしくなった。
ぐちゃさん、ホントに逞しくカッコイイ!!
写真のハスキーはまだ若い犬だが、このハスキー犬もらしくて素敵だ!

写真を見ながら、バルとの生活がとても懐かしく思い出されて感激だった。
ハスキー犬は誇り高く、気はやさしくて力持ちで、雪景色がよく似合う。
雪が降ると散歩の速度が一段と早くなる。ウキウキして小走りになる。
同行する私は、滑って転ばないようにと必死だ。でも、そんなことはお構いなし。
早く野原の雪原に行って、雪の中を思い切り駆け回りたい。ただそれだけしか頭にない。
吹雪の日でも、野原へ引っ張られて行ったものだ。
c0113928_2343076.jpg

ホントに雪景色が似合う犬だった。
雪の雪原を悠然と見回してから、狙いを定めて一気に駆け出すのだ。
ひとしきり駆け回って、戻ってくる。
除雪作業では、スノーダンプを引っ張って手伝ってくれた。
優れた労働犬でもあった。
夏の暑い日には、少しでも涼しいところを探してはだらしなく寝転がっていた。
クーラーが入ると、その下でやはりだらしなく寝転がった。

そのバルが、7歳の頃に、初めて病気になった。
1997年に、この時のことを業界会報のコラムの原稿にした。
「二種類の専門家」とタイトルをつけたが、このときに迫られた選択は今でも私の重いテーマになっている。




二種類の専門家

ハスキー種の愛犬バルドーが我が家に来てから8年が過ぎた。
人間で言えば70才を超えた年齢である。
家の中で家族と共に過ごし、気が向けば庭に出て遊んだ。
鎖に繋がれることもなく、首輪さえしなかった。
夜は私の足元で寝て、夏の暑い日には廊下の板の間で涼んだ。
玄関が開いていても逃げ出すこともなく、どんな訪問客にも尻尾を振って応えた。
吠えることを忘れたこの犬を、口さがない友人たちは「番犬にもならないバカ犬」とあざ笑ったが、たった一度だけ異様な格好をしたセールスマンにえらく吠えたことがあり、私はいつもこのことを引き合いに出しては好い人と悪い人を見分けるのだ、とむきになって反論した。

バルドーの異変の前兆は去年の秋先にあった。
右の一番下の乳首だけがピンク色になったのである。
「こいつ、蚊にちち吸われとるぞ」とからかい半分に笑って過ごしていたが、やがて乳房に豆粒大のしこりができ、そのうち生理が始まってさらに大きくなっていった。
ゴルフボール大になった頃には、乳首からピンク色の出血がみられるようになり、とうとう重い腰を上げて動物病院へつれていった。

開院して2年目の若い獣医は乳腺腫瘍と診断し、懇切丁寧に説明する。
良性か悪性化は5分5分と教科書には書いてあること、早めに手術すべきだが、生理が引き金になっているので避妊の手術も併せて行う必要があること、長時間の手術に耐えられる状態か、術前入院で健康チェックをすること、乳首が5個あっても乳房は一つなので一側を全適すること。
そして念のため鼠径リンパも摘出することなどと仰々しい話題になった。
その上、生検も100%確実ではなく、大学病院でも悪性を想定してすすめている、と説明する。最新の高性能パソコンが買えるほどの費用もかかる。

癌の告知を受けたバルドーは、心なしかうつろな眼をしてぼんやり外を眺めることが多くなった。
大丈夫と励ましながら、別の病院でも受診することにした。
やはり開院したばかりの獣医であったが、触診では転移も認められないようなので、とりあえず患部だけ摘出して様子を見ましょう、と言う。
避妊も生理後の変化を観察してから対応することになった。
結局、この獣医に任せようと決めたのは「犬は飼い主のもとで暮らすのが一番の養生だから」と入院は極力避け、飼い主の思いに耳を傾ける姿勢が何よりも気に入ったからである。幸いにも2時間ほどの手術は順調に進み、麻酔が覚めた翌朝には元気に帰宅した。
もしもこれが犬ではなく人間だったら、どう決断しただろうか。

柳田邦夫は2種類の専門家を識別せよ、と言っていた。
「本質を見抜く専門家」と「ある種の枠組みの中だけで顛末をつける専門家」である。
「生きる」というテーマは一つのジャンルに限定していては手に負えるものではない。
本質も見失う。人の痛みや悩みと向き合う仕事をしながら、果たして私は……と考えてしまった。
カイロプラクティックという枠組みの中だけでもがいてはいないだろうか。

手術後1ヶ月が過ぎ、今では雪の中を駆け回っているバルドーの姿を追いながら、私も本質を見抜けるカイロプラクターでありたいと思う。
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by m_chiro | 2009-04-06 23:27 | わん・にゃん物語 | Trackback(1) | Comments(6)
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Tracked from 漢(男)のブログ at 2009-04-07 21:18
タイトル : キャンディー
我が愛しの犬たち② 再び、「バル(1989~2001)」のこと ... more
Commented by syaruruk at 2009-04-07 00:30
本当に、雪景色が似合いますね。ハスキー犬はそりをひく犬だもの。
勇気ある決断とバルちゃんの治癒力に、感動します。
本質を見抜く嗅覚をもちたいものです。
Commented by sci-chiro at 2009-04-07 12:27 x
私も芸のないハンドルネームを使うことにしました。
元々いつ田舎に戻るかを考えながら東京で生活していましたが、最近とみにそんなに長く東京にいたいとは思えなくなってきました。遠い将来ではないと思いますので、先生の指導を十分に受けることができます。その節はよろしくお願いいたします。
それにしても、いい写真を選ばれているから当たり前のことかもしれませんが、前回の写真といい、今日の写真といい、バルちゃんカッコ良すぎますね!
先生がバルちゃんを飼われていることを知っていて、いつか酒田に行って会いたいな、と思っていたのに結局会わずじまいでした。本当に会いたかったですね!
Commented by m_chiro at 2009-04-08 13:08 x
syarurukさん、ハスキーは雪景色が似合いますが、同行する私は寒くて早く帰りたいのです。
でもなかなか帰らしてくれないので、完全防備でだるまさんのように着込んで行きます。しかたがないので、私も雪の中を長靴を履いて歩くのですが、これだけでも結構な運動になって、次第に汗ばんできます。
これがいい運動になりました。
今では、懐かしい思い出です。

本質を見抜くには、やはり「臭覚」が大事ですかね。
こういう原始的な感覚の方が、案外、確実だったりして...。
Commented by m_chiro at 2009-04-08 13:18 x
sci-chiro様、どっこい、そう簡単には引退させられません!!
業界のためにも、まだまだ身を粉にして働いてもらいましょう!

蔵王山麓は寒いですよ。
それに、メディアの先端で活躍した人には、田舎は退屈すぎます。
それとも、この頃お疲れですか?
Commented by sci-chiro at 2009-04-09 12:49 x
疲れる業界であることは、先生も何度も経験されていると思いますが、今に始まったことではありません。
先生のブログを楽しみにしている犬好きの私にとっては、いつワンちゃんの話題が出てくるか心待ちにしておりまして、バルちゃんが出てきたときには、出、出、出たあ、という感じだったんです。
それで自分のブログも更新せずに、犬を飼ったときのイメージばかりが広がり、早く実家の広~い(?)庭で飼いたいな、とモーレツに思った次第です。
両親の介護もあるし、犬がいたらマジに白石から新幹線通勤するんじゃかな、と思うくらい、現在モーレツに本気モードに入っております。
Commented by m_chiro at 2009-04-09 23:27 x
sci-chiro様、意外な本気モード、恐れ入ります。

これからも、時々、犬の記事を書いてみます。
でも、今、学会誌の編集に突入です。

記念の年の企画が続いて大変でしょうが、お疲れが出ませんようにご自愛下さい。
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