我が愛しの犬たち① 初代わんこ・「バル(1989~2001)」の思い出から
私が長年の腰痛で苦しんでいた頃に、友人の獣医師から「それは運動不足だ!」と断言されたことがあった。
運動も含めて自分の健康管理をしっかりしなければ他人の治療などできない、と叱責されたのである。
そして彼は、お節介にも「強制運動用」と称して、犬を連れてきた。
それがハスキー犬だった。まだ子犬だったが、それでも大きな犬だった。

私は、確かに犬を飼うことに憧れていて、それは学生時代に読んだ一冊の本の影響だった。
書名や著者などはすっかり忘れてしまったが、その本の中に男子の生涯で「豊かな人生を送るために欠かせないものが3つある」、といったようなことが書かれていた。

一つは「よき伴侶」を持つこと。2つめは、無人島で暮らすハメになった時でさえも、これだけは持って行きたいと思うような「座右の書」を必ず一冊は持つこと。3つめは「犬を飼う」こと。出来れば大型犬がいい、と説かれていた。

犬は、君がどんな逆境に立たされようとも、どんなに辛い時だろうとも、決して君を裏切らない。生涯の本当のよき友となるだろう。犬を友として暮らすことは、男子の人生における不可欠の要素のひとつなのだ。そんなことが書かれていた。
なるほどと思いながら、いつか犬を飼いたいと思ってはいたのだが、それがこんな形で実現したのだった。

こうして私の憧れの犬は、他人から半ば強制的に「強制運動用」にと連れてこられたのである。私がその犬に何がしかの思いを膨らませて選んだわけではない。「強制運動用」なので、確かに運動量は豊富な犬種ではある。
腰が痛い、痛い、と言いながら、次第に動くことを恐れていた私に、突如やってきた犬という鞭だった。
思えば、私が腰痛というアリ地獄から抜け出せたのは、散歩というこの強制運動のおかげが皆無とはいえないように思う。バルと過ごした13年ほどは、とても至福の時でもあった。
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              愛しのバルドー      

1995年の日記に、バルへの思いを次のように書いている。




育てるということ(1995・4・7)

本屋で何げなく開いた雑誌の、一枚の写真に引き込まれた。
その写真には哀しげな犬の目があった。
みすぼらしい風体のその犬は、ハスキー犬である。
飼い主を追えないように片手を切断され、無駄吠えを防ぐためなのか舌も3分の1切り落とされたあげく、山に捨てられた。
保護施設に収容されたものの、群れには馴染めず、人が近づくと不自由な身体で片足跳びに遠ざかるという。
主人に忠実と言われる動物の、人間への不信。その目と表情には、悲しみと怯えと恨みが見て取れた。

我が家にも雌のハスキー犬がいる。
獣医のYさんが、強制運動用にと5年前に連れてきた。
名前は「バルドー」。フランスの女優・ブリジット・バルドーから命名した。通り名は「バル」である。
ブリジット・バルドーはパリ16区のブルジョアの家に生まれた。拘束を嫌い、裸足かバレーシューズを好み、ハリウッドからのラブコールも無視して39歳で女優を引退した。
本能のままに生きながら高い精神性を持った人であったそうだ。
ハスキー犬を、そんなバルドーのイメージとダブらせたのである。

ハスキー犬は元来ソリを引く労働犬であるが、狼の血を引く誇り高い犬でもある。
漫画「動物のお医者さん」で一躍人気が出たが、人気に比例して「バカ犬」との評判も高くなった。
強面だが、気はやさしくお人好し。動くものを見たら、ただ無邪気に飛んで行って遊ぼうとする。
脳天気でしかも馬鹿力。それでも、なんども同じことを繰り返す「バカのひとつ覚え」の犬よりも、私はこのハスキー犬の陽気な性格が気に入っている。

ところで、バカだの賢いだのという評価は何が基準になっているのだろう。
別に共通一次やIQテストがあるわけではない。
よくよく考えると、飼い主の思い通りになるかならないかが、バカと利口を分ける境界らしい。
賢く育つかバカ犬で終わるかは、飼い主の責任というわけだ。

結局、思い通りの犬に育てるには、犬の能力以上に飼い主の愛情あるコミュニケーションと根気が肝心である。
というわけで、バルドーは時間の許す限りいつも私の側にいる。
寝るときも私の足元で眠る。ドライブに行くときは助手席に座る。
おかげで新しい乗用車も台無しだ。
話しかけているうちに、いつとはなしに「あうんの呼吸」ができあがって、思い通りの犬に育っている。
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by m_chiro | 2009-04-03 21:22 | わん・にゃん物語 | Trackback | Comments(8)
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Commented by syaruruk at 2009-04-03 22:25
バルドーちゃん。きれいなワンちゃんですね。腰痛にはきつそうだけど^^;

「ハスキー犬は、急に人気が出て、無理な繁殖をしたために病気の子が増えたことと、蒸し暑い西日本の気候には合わなかったので、人気は一時的なものだった。」と、妹が昔、言ってました。犬の訓練士をしていた妹は、ハスキー犬が大好きで。。。
大型犬なので、しつけに困って訓練所に入れる方が多かったようです。
Commented by tenorsaxt at 2009-04-04 14:44
運動不足による腰痛・・・。私もいま痛感しております。犬の代わりにコマ回しで毎日の運動不足解消に。

「河童のカイロ」でとくさんのブログが開設されましたのでお知らせを。http://kappanochi.exblog.jp/
Commented by m_chiro at 2009-04-05 11:18 x
syarurukさん、そうですか。ぐちゃさんもハスキー犬が好きですか。
ハスキー犬が好きだという人を知るとうれしくなります。
ほとんどの人がバカ犬呼ばわりしますから...。
早速、ぐちゃさんにコメントしました。
Commented by m_cjhiro at 2009-04-05 11:27 x
tenorsaxt様、電話でお元気そうな声を聞いてうれしく思いました。
お知らせも、有難うございました。今度、お邪魔してみます。
Commented by 斎藤 信次 at 2009-04-06 10:46 x
1週間ほど前の京都でのソウルナイトの最、スピーカーの一人としてお願いした大阪の前田滋さんと、スピーチ前のひとときにワンちゃんのことを話していて、守屋さんのところのことも話題にしていました。
前田さんもご自身のホームページの中に「ポチ・タマの部屋」というコーナーをつくり、愛犬、愛猫、さらにご近所やお知り合いの愛犬、愛猫を温かい眼で紹介しています。
複数の犬を飼うおもしろさ、なぜ犬を飼い始めたかなどをお聞きしました。
私も東京の室内で飼うことは、犬のためにならないと断念していますが、いつの日か今の立場から離れ、実家(宮城県白石市)にこもることになったら、庭で思いっ切り、残りの人生のパートナーとして複数の犬に囲まれて生きたいと願っています。
Commented by honaikoka-m at 2009-04-06 14:07
始めまして。ぐちゃ♪です。
コメントありがとうございました。

バルちゃんかいこそうですね。笑ってる^^。
Commented by m_chiro at 2009-04-06 23:39
斎藤様、お疲れ様です。いつもご苦労様です。

犬のことは、私が先生になれますからいろいろ教えて差し上げますよ。
白石市には、2度ばかり行ったことがあります。
蔵王の山麓の小都市ですね。
いつか行き来できる、そんな時が来たらいいなぁ~、と思います。

でもその時には、私は介護が必要になっていて、「やはり夢だったか!THE END」だったりして。

まぁ、末永くお付き合い下さい。よろしくお願いいたします。
Commented by m_chiro at 2009-04-06 23:43
ぐちゃさん、ありがとうございます。
写真、ホントにカッコ良かったです。
あまりにもうれしくて、バルの第二弾を記事にしました。
雪景色とバルの写真も入れました。
雪の中を走るときは、ホントに笑顔なんです。
その顔を絵にしたこともありました。
又、よろしくお願いします。
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